のんきな婆ぁ ~プロローグ

介護コラム

私の働く介護事業所には、自分のことを「のんきな婆ぁ」と呼ぶ高齢者がいる。
86歳、女性、アルツハイマー型認知症だが、お体は元気で、普通に歩ける。
時々転んだり、尻もちをつく。鏡の中のご自分とよく会話をされている。
冗談を言うと、〝ガッハッハぁ〟と大声で笑う、穏やかな方。
もちろん私たち介護職員が、ご本人のことを「のんきな婆ぁ」なんて
お呼びすることはない。当然〇〇さんと苗字でお呼びする。
ここでは仮に「Sさん」としておく。

  若い介護職員の中には、仕事に慣れてくると、利用者の事を“親しみ”を込めて
  「〇〇ちゃん」などとあだ名で呼んだりすることも見受けられる。
  こういった些細な言葉遣いの乱れが、いずれ「高齢者虐待」につながる。
  かならず「苗字」でお呼びしよう。

Sさんはなぜ自分のことを「のんきな婆ぁ」と呼ぶようになったのか
これから、Sさんとのエピソードをご紹介します。

コメント

タイトルとURLをコピーしました